「外資系」も「日系」問わずプライベートバンクのサービスを受けるには最低預入金額のハードルがあります。
各社によって額は違えども目安としては最低預入金額が1億円~3億円ほど必要です。
2016年末時点では国内における資産額が1億円以上の富裕層と呼ばれる世帯は121.7万世帯です。
人口だと282万6000人、人口比率だと2.3%で50世帯に1世帯が富裕層という計算です。
統計的には2013年と比較し富裕層は20.9%増えている計算になります。
富裕層の増加に伴いプライベートバンクと同様のサービス(プライベートバンキング業務)を提供している金融機関も増えてきました。
その中でもプライベートバンクは「日系」と「外資系」の二種類に分けることができます。
今回は両者のプライベートバンクを比較して「違い」についてご紹介します。
【日系プライベートバンクとは?】
日系と言われるのは「野村證券」や「大和証券」などの日本にある証券会社系に加えて
「三菱UFJ銀行」などのメガバンク系や「千葉銀行」や「静岡銀行」などの銀行・地銀系があります。
(一部、独立金融機関がプライベートバンクサービスを提供しています)
日系のプライベートバンクの強みとしては海外に比べて煩雑かつ変更の多い日本の税務や法務に対して柔軟に対応してくれるところです。
特に日本の法律に柔軟に対応した、事業承継や資産承継など相続には強みがあります。
そして、日系のプライベートバンクでは相続などで揉めた場合には人間関係のアフターサポートも行ってくれます。
一方で契約社会である外資系のプライベートバンクでは人間関係や状況を察してアフターフォローをするという気配りは、なかなか着目し難いのが実際のところ。
日系プライベートバンクは日本人的な文化や商習慣が板についているため日本人資産家にとってはかゆいところに手が届く存在だといえるでしょう。
【日系プライベートバンクの弱点とは?】
日系プライベートバンクの弱点としては手数料などビジネスモデルに関する点です。
日系のプライベートバンクのほとんどの手数料体系は「ブローカーレッジモデル」となっています。
これは金融商品の販売手数料によって収益を徴収しているということです。
サービス利用者の「資産を守ってほしい」という顧客のニーズにも関わらず、金融機関側の事業収益化のために金融商品の積極的なセールスをされたということで苦情も実は少なくありません。
顧客のリスク許容度を考えずにセールスした結果、トラブルになるケースも起こっています。
資産家のニーズの多くは「運用」よりも「資産保全」である場合が多いです。
しかし、株や債券によって積極運用を促したりと、ブローカーレッジモデルには顧客とサービス提供側に利益相反が働いてしまうことがあるのが考えものです。
実際のわたくしの周りにいる日系プライベートバンクの口座開設者では、「満足度を感じる」という回答の割合は半分もいかないくらいでしょうか。
何とも言えない割合になっています。
金融業界では「日本はヨーロッパや米国などの諸外国に比べて金融リテラシーが20年遅れている」と言われます。
しかし、これは売り手の金融機関側だけではなく、買い手である投資家、資産家にも当てはまるところがあります。
実は担当者が勧めたものを「プライベートバンクだから信頼できる、優遇されているのだろう」と盲目的な視点で商品を購入する資産家も少なくありません。
資産家の本質的なニーズに対応しているか、と言われると全てにおいて合格…とはなかなか言いにくいかもしれません。
〈日系プライベートバンクの割高な販売手数料?〉
さらに日系プライベートバンクは外資に比べて販売手数料も割高です。
実は海外のプライベートバンクでは預かり資産額が多い顧客に対して、管理手数料や販売手数料がある場合は優遇することは当たり前で担当者にも優遇措置の裁量権も与えられています。
一方で日本では資産額問わず手数料は一律。
ですので投資で勝っていて手数料が気になる資産家はプライベートバンクを使わずにネット証券などで独自で資産運用している人もいます。
例えば
50億円分の株式を売却する際には通常は0.5~1.5%の手数料率を0.1%未満にまで下げることが出来れば…。
なんとか海外勢と肩を並べることが出来るのではないかと思います。
販売手数料を下げるのはマネージャークラスの担当者だとしても異例で、なかなか難しいのが現状です。
〈プライベートバンク業の本質から遠ざける日本企業の風習とは?〉
また日系のプライベートバンクは日本の人事制度や規則を基本としています。
そのことでサービス利用者にとっては不都合なことも多々あります。
代表的なものが「数年するとローテーションで担当者が変わってしまう」ということ。
これは、担当者と顧客が親密な関係になり過ぎることでのコンプライアンス違反をけん制する目的があります。
また、プライベートバンキングやウェルスマネジメント部署などの資産家や富裕層対応部署は社内でも精鋭が受け持っています。
出世コースを足早に急ぐ彼らにとっては、色んな部署を経験させて高い視点で管理者にならなければいけません。
しかし、本来プライベートバンクというのは代を跨いで一族と長く関わりをもって資産保全をすることが責務。ですので、日系のプライベートバンクは本質的な部分では逸脱していると感じる資産家もいます。
日系プライベートバンクは社内の「いち事業部」としての立ち位置で、ビジネスライクな部分が見え隠れしてしまう部分は正直考えものです。
【外資系プライベートバンクとは?】
日本国内でシェア拡大を図っているのが外資系プライベートバンクのUBS、クレディスイス、ロンバーオーディエ、ジュリアスベアです。
外資系もUBSを皮切りに国内の富裕層向けサービスを提供しており各社預かり資産残高を徐々に増やしています。
外資系の強みは日系のプライベートバンクと比較して、運用ノウハウに長けているという点です。
UBSなどは自社でUBSオコナーというヘッジファンドを持っています。
例えば、UBSであればヘッジファンドのラインナップが多く、クレディスイスは仕組み債に強みを持っているという特徴が各社であります。
外資系は各社運用手法に特徴を持っており、資産運用に関心がある富裕層からは人気が高いです。
因みにUBSオコナーに投資することを第一目的として、UBSプライベートバンクに口座開設をする人もいるくらいです。
〈外資系プライベートバンクの手数料形態とは?〉
また手数料体系としてはUBSやクレディスイスなど外資系であっても、「日本支社がある時点」でブローカーレッジモデル(商品の売買に応じて手数料が発生するモデル)となっています。
とはいうものの、海外勢は日系よりも手数料が割安な点はメリットといえます。
例えば、株式の売買手数料も資産額に応じて減免の対応をしてくれることもあります。
しかし、外資系は日本国内では苦戦を強いられているのも事実。というのも日本は先進国の中でも突出して税金が高い国です。
さらに税務や法務も複雑な上に頻繁に変わることも多く効果的な節税対策や相続対策においては日系に遅れをとっています。
税金対策でのスキームなど資産保全に関しての対応は国内においてはあまり得意とはいえない様です。
スイス系の格式あるブランドと過去運用実績を武器に日本市場に勝負をかけているといった印象です。
〈外資系プライベートバンクからのアプローチとは?〉
プライベートバンクへの預入資産額のハードルをクリアするような資産家や富裕層であれば各社プライベートバンクからアプローチがあると思います。しかし日系や外資系で毛色が違い一長一短あります。
運用が出来ても税金対策が苦手。
保全が出来ても手数料が割高でセールス気を感じる、などなど。
国内におけるプライベートバンク市場は、野球で例えるならば走行守揃ったプレイヤーがいないのが業界の実態です。
プライベートバンクの様な資産家向けサービスを受けることを検討されているのであれば、まずは第一のニーズを明確化し、それに従って最適なパートナーを決定することをおすすめします。
〈資産保全のニーズで注目を浴びているキャプティブスキームとは?〉
事業承継や相続、贈与など資産を守ることや移転すること第一とするのであれば、キャプティブが日本国内でも注目されています。
キャプティブは今まではトヨタ自動車、日立製作所や丸紅などの大手商社といった大企業経営者しか知らなかったスキームですが、2017年を境に中小企業経営者でも広く知られるようになりました。
保険業法や国際税務など包括的な知識を必要とするスキームなので提案できるプライベートバンクのエージェントは少ないのが現状ですが、採用することができれば大きな効果を期待できます。
情報は集めておいても損はないでしょう。
【プライベートバンクで口座開設する前に基本的な情報を理解しておくことが何よりも大切です】
実はわたくしは過去に運用でまとまった利益を作ることができました。
それを原資にして資産運用や資産保全に取り組むために、いくつかのプライベートバンクを比較したことがあります。
とはいうもののプライベートバンクも記事でも述べているとおり、ビジネスで運営しています。
幅広いサービスが確かに魅力的ではありましたが、友人からは「金融商品の営業が正直しつこいよ…」などとも聞きます。
ですのでプライベートバンクの話を少し聞いただけで「何だか良さそう」という単純な理由だけで口座開設することはあまりおすすめしません。
プライベートバンクで安易に口座開設をする前に
・契約を考えているプライベートバンクのビジネスモデルがどうなっているのか?
・リスクやデメリットは何なのか?
・どういう仕組みになっているのか?などをきちんと理解することが大切です。
それらを理解せずに安易にプライベートバンキングサービスで口座開設をして、金融商品や不動産のセールスを必死にされるだけで「こんなはずじゃなかった」という人は少なくありません。
しかしプライベートバンク選びに失敗してしまう根本的な原因は、単純に良質な情報が少ないことが挙げられます。要らぬ失敗をしないためにも必要なことは良質な情報を取ること、基本の理解が大事です。
因みにわたくしが現在、プライベートバンキングサービスとして依頼しているのは、国内の独立系金融機関である投資顧問会社の投資顧問アドバイザーの方です。
ここは手数料形式が「ブローカーレッジモデル」という金融商品のセールスも全くなく、担当の荒木大志氏は投資家と同じ目線で常に最適な助言を行ってくれます。
そして、商品を売る販売会社ではなく完全に中立公正な立場で情報提供してくれることに加えて、海外の資産保全の情報や海外の老舗プライベートバンクの情報提供もしてくれることが魅力で契約をしました。
長年ここのプライベートバンキングサービスを提供している方が執筆した「99%のプライベートバンカーが伝えない1%の真実」というメルマガがあります。
業界の裏側や実態を教えてくれている無料メルマガとなりますが
まずは安易に口座開設をする前に知識を入れてから検討されることをおすすめします。
プライベートバンクの基本的なことがまずは理解できるかと思います。
わたくしはまだ40代の若造でプライベートバンクの知識が全くないところから個人的に色々とお世話になっています。
このサイトで無料メルマガをご紹介する許可を頂いたので、以下に貼り付けをしておきますので着手される前に参考にしてみて下さい。
レポートは私自身が執筆したものではなく第三者の専門家が発行したもので良質な情報が詰まっていますのでこれからプライベートバンク選びを検討をされる方には良いと思います。
本来は完全紹介制で登録者数に上限があるようなので情報を参考にするのであればお早めに!
【その案件は本当に大丈夫ですか?】
プライベートバンクで安易に口座開設をする前に必ず基本的なことの理解をしておくことをおすすめします。なぜなら、プライベートバンクのスキームの構築が本当に最良のものかどうかが自身では気付きにくいからです。
過去には不動産会社と手数料のキックバックをする業務提携して、販売手数料目的で不動産をやたらセールスされたケースもあります。
そうした意味でも、国内に信頼できる相談役を備えておくと安心です。第三者のセカンドオピニオンとして適切なアドバイスが得られるでしょう。
もしも、近くに詳しい方がおられない場合は、ご相談・お問い合せ頂いても構いません。
ただ、わたしも普段はサラリーマンをしているので返信に時間がかかる場合もあります。
ご了承をお願いします。