日本と海外のプライベートバンクの違いについて、詳しく知っている人は実はとても少ないといえます。

そして、その違いというのは「プライベートバンク」と「プライベートバンキング」の違いに集約されているといっても過言ではないでしょう。

しかし明確な違いを知っている人は10%もいません。

それもそのはず、国内では「プライベートバンク」と「プライベートバンキング」の違いは明確に定義づけられておらず、意識している人も多くないから。

さらに国内の金融機関が擁する「ウェルスマネジメント部署」も日本人の資産家や富裕層からは、一括りにして「プライベートバンク」として認知されています。

しかし実は「プライベートバンク」と「プライベートバンク以外」には明確な定義付による違いがあります。

この差を知るだけでもプライベートバンクを選ぶ際の判断基準の物差しになると思います。

【「プライベートバンク」とは?】

実は『プライベートバンク』はスイスにて法律に基づいた厳密な定義があります。

それは『プライベートバンクの経営にあたり無限責任のパートナーシップ制をとっている』かどうか、という点です。

この条件がプライベートバンク発祥の起源でもありプライベートバンクを定義づける条件でもありました。

こうした無限責任のパートナーシップ制の条件を満たすプライベートバンクが集まって『プライベートバンカーズ協会』というのが1934年に発足しています。

プライベートバンカーズ協会の加盟行はかつては15行ほどありましたが、時間の経過につれて徐々に減少し2017年時点では6行になりました。

下記に紹介をします。

〈プライベートバンカーズ協会〉

・バウマン(Baumann&Cie)

・ボーディエ(Bordier&CIe)

・ガッツウィラーバンカース(E.Gutzwiller&Cie Banquiers)

・モルギュアルギュ(Mourgue d’Algue&Cie)

・ラーンアンドボドマー(Rahn+Bodmer)

・ライヒムート(Reichmuth&Co.Private)

しかし時代が移り変わっていく中でプライベートバンクと厳密に定義づける無限責任にも変化が起こります。

【変化が起こった無限責任制度!?】

プライベートバンクの『無限責任によるパートナーシップ』が揺らいだきっかけは、アメリカによるスイスのプライベートバンクへの訴訟と多額の罰金の請求です。

事の発端はプライベートバンクの高い情報守秘性により守られたアメリカ人の口座開設者へアメリカ司法当局が脱税の疑いをかけたことからでした。

スイス系のプライベートバンク部門を持つUBSが司法当局との交渉にて営業停止をチラつかせられたことから7億8,000万ドルの罰金と顧客情報開示の条件を飲み込みました。

それからボーディエをはじめとし、ミラボーやロンバーオーディエなどが『有限責任への方針転換をする』という事態が続々と起こりました。

2014年には無限責任を放棄し有限責任の条件で『プライベートバンク協会』というものが発足され、プライベートバンクの在り方が再度問われています。

〈プライベートバンク協会〉

・ボーディエ(Bordier&CIe)

・ガッツウィラーバンカース(E.Gutzwiller&Cie Banquiers)

・ゴネ(Gonet&Cie)

・ロンバーオーディエ(Lombard Odier Hentsch&Cie)

・ミラボー(Mirabaud&Cie)

・モルギュアルギュ(Mourgue d’Algue&Cie)

・ピクテ(Pictet&Cie)

・ラーンアンドボドマー(Rahn+Bodmer)

・ライヒムート(Reichmuth&Co.Private)

かつてはプライベートバンクとは本来は高い情報守秘性はもちろんのこと、無限責任という厳密な定義付けをされて条件を満たした銀行が「プライベートバンク」という看板を掲げていました。

現在においては無限責任のプライベートバンクも絶滅の危機に瀕しています。

〈プライベートバンクのビジネスモデル〉

昨今では『プライベートバンクとは?』という問いに対しては個々人で諸説あるのが実際のところです。

個人的な見解としては「プライベートバンクの本質的な在り方を受け継いでいる」か否かという点がポイントだと思います。

それを見分けるには『報酬体系』がポイントです。

スイスをはじめヨーロッパ系では中長期に渡った資産運用を前提としておりビジネスモデルは管理手数料型です。

要するに顧客と何度コンタクトしても運用に際して売買を何度しようとも手数料は請求せずに預かり資産残高に対して数%を徴収するというスタイルです。

一般的にはフィーモデルとも呼ばれます。

この預かり資産残高に対してのビジネスモデルでは顧客と利益相反の考え方になりにくく健全な関係を保ちやすいのが特徴です。

一方で日本国内では証券会社や銀行などの金融機関は一般層向けに金融商品のセールスを行うマスリテールと資産家向けサービスを分けています。

国内の金融機関のプライベートバンク部門の基本的な在り方としてはスタートが『セールス』ということになります。

実際にそのセールスのDNAは報酬体系に現れています。

日本や米系は商品売買に対してその都度、仲介手数料を徴収するビジネスモデルになっています。

ブローカーレッジモデルとも呼ばれます。

資産家に向けたサポートに尽力すれども「資産を守ってほしい」と考える顧客とは利益相反になりやすく、実際に営業攻勢をかけてその姿勢に不満を持っている資産家も少なくはありません。

お金に関する執事として資産家や富裕層の顧客と同じ方向を向いて歩んでくれる、という考え方が本質的に大切な部分だと個人的には考えます。

合わせて読みたい▼

(ここで詳しく↓)

プライベートバンクの「手数料モデル」の実態とは?

【「プライベートバンキング」とは?】

「プライベートバンキング」や「ウェルスマネジメント」は本来の『プライベートバンクの資産家向けサービスを模倣して作られた金融機関の資産家や富裕層向けビジネスの部署・部門名』として使われます。

つまり、昔からあるプライベートバンクという源流から派生的に生まれたサービスです。

とはいうものの前述したスイスでの無限責任の定義の云々に関して把握している国内の資産家や富裕層は多くはありません。

そのため日本国内では「プライベートバンキング」や「ウェルスマネジメント」が明確に区分されずに「プライベートバンク」と呼ばれています。

しかし「国内のプライベートバンクは海外の真似事だ!」

と片付けてしまうのも早計です。

プライベートバンクであろうとウェルスマネジメント部署であろうと資産家や富裕層が求めている価値は『第一に資産の保全』です。

富裕層から求められているニーズの根本的な部分には変わりはありません。

【日本市場で苦戦している海外プライベートバンク勢!?】

ですが実際には外資系や本場スイスなどの海外のプライベートバンクは日本で資産家や富裕層の資産保全の願いを叶えることにかなり苦労をしています。

その理由は独特な日本の商習慣、文化や法制度です。

日本は住民税を含めた所得税と相続税の最大税率が55%、運用で利益が出ても配当課税で20%と先進国の中でも異例です。

また日本の税制は複雑な上に変更も多いので日本文化に根付いていない外資系プライベートバンクが日本人富裕層のニーズに応え続けるのも簡単ではありません。

加えて相続では資産が多いほど揉めてしまうものです。

その際に人間関係のきめ細かいフォローなどは契約社会である外資系プライベートバンクでは着目し難く、柔軟に対応できるのは日本人同士ならではのことだと思います。

【資産保全で注目されているキャプティブスキームとは?】

因みに資産を保全するということに関してですが

これからの日本国内のプライベートバンクを含む資産家向けサービスは、柔軟なアイデアで堂々と節税スキームを作成出来るかどうかが重要な鍵になります。

そんな中で2017年以降はキャプティブというスキームが国内の会社経営者に注目されています。

資産贈与や相続、法人税節税などの効果が期待でき、実際にトヨタや三菱商事などの大企業が採用しているスキームです。

2017年のハワイの税制の変化によって個人や中小企業でも取り入れる方が増えました。

ただキャプティブは保険や国際税務などの包括的かつ深い知識が求められるので提案できるバンカーが少ないのが現状ですが採用することが出来れば目的成就しやすくなると思います。

資産を守ることを念頭に置くのであれば情報収集をしておいて損はないでしょう。

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(詳しくはこの記事を参照↓)

キャプティブで節税をする前に知るべき実態と業界裏話とは?

キャプティブのメリットとデメリットや設立方法とは?

国内における日系外資系問わずにプライベートバンク事業をしている金融機関は、資産家のニーズのヒヤリングをして相続のサポートや節税の情報提供など「お金に関する執事」たる働きが求められているのは言うまでもないことです。

資産家や富裕層のニーズに対応するのに「プライベートバンク」か「プライベートバンキング」かは重要ではなく、本質的な価値を提供してくれるか否かが鍵になります。

合わせて読みたい▼

日本と外資のプライベートバンクを比較して分かった「違い」とは?

【プライベートバンクで口座開設する前に基本的な情報を理解しておくことが何よりも大切です】

実はわたくしは過去に運用でまとまった利益を作ることができました。

それを原資にして資産運用や資産保全に取り組むために、いくつかのプライベートバンクを比較したことがあります。

とはいうもののプライベートバンクも記事でも述べているとおり、ビジネスで運営しています。

幅広いサービスが確かに魅力的ではありましたが、友人からは「金融商品の営業が正直しつこいよ…」などとも聞きます。

ですのでプライベートバンクの少し情報を聞いただけで「何だか良さそう」という単純な理由だけで口座開設することはあまりおすすめしません。

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に

・契約を考えているプライベートバンクのビジネスモデルがどうなっているのか?

・リスクやデメリットは何なのか?

・どういう仕組みになっているのか?などをきちんと理解することが大切です。

それらを理解せずに安易にプライベートバンキングサービスで口座開設をして

金融商品や不動産のセールスを必死にされるだけで「こんなはずじゃなかった」という人は少なくありません。

しかしプライベートバンク選びに失敗してしまう根本的な原因は、単純に良質な情報が少ないことが挙げられます。

要らぬ失敗をしないためにも必要なことは良質な情報を取ること、基本の理解が大事です。

因みにわたくしが現在、プライベートバンキングサービスとして利用しているのは「匠投資顧問株式会社」というところです。

ここは手数料形式が「ブローカーレッジモデル」という金融商品のセールスも全くなく、「フィーモデル」で同じ方向性を向くことが出来ること。

そして、販売会社ではなく完全に中立な立場で情報提供してくれることに加えて、海外の資産保全の情報なども提供してくれることが魅力で口座開設をしました。

ここのプライベートバンキングサービスをしている方が執筆した「99%のプライベートバンカーが伝えない1%の真実」というメルマガがあります。

資産形成を考えてプライベートバンクに口座を開設するのであれば

まずは事前に知識を入れてから検討されることをおすすめします。

業界の裏側を教えてくれているので参考にはなると思います。

わたくしはまだ40代の若造でプライベートバンクの知識が全くないところから個人的に色々とお世話になっています。

このサイトで紹介する許可を頂いたので、以下にリンクを貼り付けをしておきますので口座開設に着手される前に参考にしてみて下さい。

レポートはが執筆したものではなく、第三者機関の金融機関が発行したものですが無料で良質な情報なのでこれから検討をされる方には良いと思います。

本来は完全紹介制で登録者数に上限があるようなので情報を参考にするのであればお早めに

【推奨メルマガ(無料)】

【その案件は本当に大丈夫ですか?】

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に必ず基本的なことの理解をしておくことをおすすめします。

なぜなら、プライベートバンクのスキームの構築が本当に最良のものかどうかが自身では気付きにくいからです。

過去には不動産会社と手数料のキックバックをする業務提携して、私欲で不動産をやたらセールスされたケースもあります。

もしも近くに詳しい方がおられない場合は、ご相談・お問い合せ頂いても構いません。

ただ、わたしも普段はサラリーマンをしているので返信に時間がかかる場合もあります。

ご了承をお願いします。

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