日本のプライベートバンクが提供する一任勘定サービス。

一任勘定サービスを可能にしているのが富裕層限定のラップ口座の「SMA」です。

話の本題であるSMAの実態に触れる前に、まずは「ラップ口座とは何なのか?」ということから順番に説明します。

〈ラップ口座とは?〉

ラップ口座はもともと海外で誕生し日本に入ってきました。

包括的なという意味で「ラップ」という単語が用いられています。

一般投資家向けに証券会社がファンドや株式など商品を選んで、一任勘定で運用してくれるという便利な謳い文句で販売しています。

が、その実態はどうなのでしょうか?

〈一般的なラップ口座は手数料が高い!?〉

通常は投資信託を購入すると販売手数料で大体が2~3%、そして、その後は信託手数料として1.0~2%が徴収されます。

投資信託を購入すると初年度から合計して4%近くの手数料がかかり、プラスになる人は少ないのが現状です。

更に証券会社は中長期で運用する商品特性を持つ投資信託だとしても、自社の決算期が近づけば販売手数料目当てで乗り換えを勧めてくることもあります。

その際にはまた販売手数料がかかり、いつまでたっても投資した金額が増加ことはありません。

一方でラップ口座の手数料は各社で多少のバラつきがあるものの、管理手数料は運用資産残高に対して2~3%といったところが一般的なライン。

ラップ口座の特徴としては保有している商品の乗り換えをしても「その都度の販売手数料はかからない」というところにあります。

その点はラップ口座の利点といってもいいかもしれません。

しかし商品を保有している間の信託報酬はしっかり徴収されます。

ラップ口座のポートフォリオによっては銘柄が多岐に渡る場合もあり、その場合は信託手数料がかさむ場合もあります。

人によっては管理手数料と信託手数料を合わせて5%以上の手数料になってしまう場合もあります。

「たかが5%」という声も聞こえてきそうですが、とんでもない。

運用するにしては手数料としては高額です。

正直、日本国内で流通している金融商品と投資環境で運用をして5%の利回りを継続して出すのはかなり難しいのが現実です。

〈ラップ口座の商品の中身とは…〉

証券会社にラップ口座の契約をすると一任勘定で銘柄を選んでくれるので、「楽だ」と感じる人もおられることでしょう。

しかし、ラップ口座から投資された商品の素性を知っている人は少ないのが実際のところです。

実はこれは非常に怖いことで、投資家は実態を知っておくべきだと個人的には思います。

構成されている金融商品は「ラップ口座専用ファンド」と称しています。

でも実は、その中身は一般的に店頭で販売されている商品となんら変わりがありません。

そして個々に金融商品を分析すると投資するに値しない商品が含まれている、ということも実は少なくありません。

たとえば「ブラジル五輪ファンド」、「地元応援ファンド」、「AIファンド」「ESGファンド」など目新しさだけを意識して金融リテラシーの少ない投資家に乗り換えをさせることを狙って組成された商品もあります。

そのような商品がラップ口座の中の大半を占めていたり

他にも商品の中身を分析していくと「ハイリスク・ローリターン」の販売側の旨みしか考慮されていない様な商品も少なくありません。

表現は過激ですが、投資家にとって旨みを得られない商品は「クズ商品」です。

そんな商品が実は銀行や証券会社には数え切れないほど置いてあります。

日本国内のクズ証券を組み合わせて運用結果として5%の利回りを出すのは難しいでしょう。

更に仮に5%の運用実績を出せたとしても高すぎる手数料でプラスマイナスゼロになってしまいます。

サービスの概要だけを話すと「いい商品だね」と購入する人もいますが、多くは義理人情に厚い高齢の投資家が中身も調べずに購入するケースが多い傾向にあります。

近年ではラップ口座という言葉が有名になってきて実態を調べる人も多くなってきました。

ネットでも内容に関してはメスを入れる様な意見が多く見られます。

金融に少し詳しい人であれば手数料率とポートフォリオ構築のずさんさから購入する人はあまりいません。

〈プライベートバンク限定のラップ口座 SMAの実態とは?〉

タイトルにも書いたとおりプライベートバンクの口座開設者限定のラップ口座があります。

その名もSMA(Separately Managed Account)。

一般的なラップ口座と違うのは大きく違うのは

顧客のニーズをヒヤリングした上で個別のポートフォリオを構築するオーダーメイド方式という点です。

SMAは口座開設者のニーズによって構成される内容がヘッジファンドなどのオルタナティブ投資を組み入れることもあります。

手数料は運用資産残高に対しての管理手数料が基本となっています。

※オルタナティブ投資:上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外の新しい投資対象や投資手法のことをいいます。 オルタナティブ(alternative)は直訳すると「代わりの」「代替の」という意味です。

因みに日本国内のプライベートバンクではビジネスモデルは基本的に「金融商品の販売手数料」による『ブローカーレッジモデル』と呼ばれています。

そのためプライベートバンカーが顧客に対して様々なサポートをする一方で「金融商品の提案」をする場合も少なくありません。

一方でスイスのプライベートバンクは「預入資産残高の割合に対しての管理手数料方式」で『フィーモデル』になっています。

日本と海外のプライベートバンクのビジネスモデルは基本的には違います。

その中でSMAは一任勘定サービスを具現化したような、いかにも『プライベートバンク的な内容』という表現の方が正しいでしょう。

SMAを開設すると投資家は運用に対して意見することができず、定期的な運用報告によって推移を知ることになります。

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プライベートバンクの「手数料モデル」の実態とは?

〈SMAの手数料とは?〉

SMAは一般的なラップ口座と手数料形式が少し違います。

SMAは運用資産残高に応じて「管理手数料」を徴収します。

1.5~2%が大体の相場で一般的なラップ口座よりも若干安くなっています。

各金融機関で管理手数料型と成功報酬型が選べるところがあります。

(成功報酬型といっても、ある程度固定の管理手数料はかかりますが…)

因みに保有する商品が株だと信託手数料はかかりませんが、投資信託は信託手数料が徴収されます。

基本的に国内や海外とリスク分散したアセットアロケーションにはなりますが、注意したいのは構成される商品内容は窓口で販売される一般商品と変わらないことも多くSMAだからといって必ずしも運用が順風満帆にいくとは限りません。

むしろポートフォリオによっては一般のラップ口座同様に手数料率が高くなってしまう場合も往々にしてあるので、金融リテラシーを身につけてSMAの構成に対して理解をしておくことが大切です。

元本割れをすることも珍しくはありませんので購入するには注意が必要です。

むしろSMAは一任勘定であるからこそ投資家が責任を持って構成を理解し管理する視点を持つことが大切だと思います。

〈SMAの購入金額とは?〉

因みに野村證券の販売している野村SMAは購入するのに一昔前では3億円からでしたが小口化され5,000万円から購入することが出来ます。

一方で大和証券のダイワSMAは1億円など金融機関によって最低購入可能金額は違います。

〈正直、SMAは投資する価値があるのか?〉

因みにSMAは顧客のニーズに応じてオーダーメイド方式になっているので、どの会社のものが良いのかは差別化出来ません。

SMAは商品内容(期待出来るリターンとリスク)や手数料、運用方針などを理解した上で購入するのであれば、投資をする価値があるとは思います。

ただ、証券会社に任せっぱなしにして内容を把握しないつもりであれば購入してはいけません。

いいようにされてしまうということもありますからね。

個人的な見解としては世界中にはSMAの中身の商品よりも割が良く(リターンとリスクのバランスや購入金額的に)、バランスの取れた商品がゴロゴロあるので効率的に掘り出し物を見つけ出し、リスク分散しながら投資していくことがよろしいかとは思います。

余談ですが国内のプライベートバンクでは気になる海外商品に関して質問しても「取り扱いリストに入っていないため…」といって前向きな態度で相談してくれないケースもある様です。

〈プライベートバンクの投資一任サービス〉

一方、スイスのプライベートバンクでは口座開設後に投資一任(アセットマネジメント)の契約をするのが一般的です。(国内で投資一任契約が出来るのは外資系のUBSとクレディスイスとロンバーオーディエのみ)

SMAとの違いは手数料率の違いです。

プライベートバンクの手数料率(アセットマネジメントフィー)は安く1.5%前後が相場です。

手法は各プライベートバンクによって違い、中立的な立場で世界中の商品分析をした上でアセットアロケーションをする場合やバンクフリックの様に外部の運用会社を分析して委託する場合もあります。

運用面においては正直なところ、海外のプライベートバンクが運用面では何枚も上手というのが正直なところです。

因みにUBSやクレディスイスなど国内の外資系プライベートバンクも運用ノウハウにおいては国内の日系プライベートバンクよりもアドバンテージがあります。

以上がラップ口座やSMAに関しての素性です。

運用面だけを考えれば「国内よりも外資、外資よりも海外のプライベートバンク」という感じでしょうか。

しかし、総合的に見ると各プライベートバンクにも一長一短がありますので、「絶対的にここがいい」とも言い切れないのが実際のところです。

それと付け加えておきますが、海外のプライベートバンクであっても、無知な日本人をカモにした輩が存在しますのでそこは十分ご注意ください。

できれば国内でもセカンドオピニオンとして信頼できる専門家やアドバイザーを備えておくのが得策です。

素人では気が付かない落とし穴も、同業である彼らプロは簡単に見極めることができますので。

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〈外資系プライベートバンクの特徴とは?〉

外資系は運用面では強いとお話しました。

でも守りの部分が弱いのが実態です。

というのも日本は先進国の中でも突出して税金が高い国です。さらに税務や法務も複雑な上に頻繁に変わることも多く効果的な節税対策や相続対策においては日系に遅れをとっています。

税金対策でのスキームなど資産保全に関しての対応は国内においてはあまり得意とはいえない様です。

更に言えば海外勢においてはプレイする場所が日本と海外であり、そもそもフィールドが違います。

前述下通り日本と海外の税制や法務は全く違いルールが異なるため、日本の相続や資産承継や事業承継には適応すら出来ていません。

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(日系と外資系のプライベートバンクの違いに関しては、この記事を参照↓)

日本と外資のプライベートバンクを比較して分かった「違い」とは?

 

〈資産を守るのであれば…〉

中にはスイスのプライベートバンクの情報守秘性を盾にして資産を守ることを検討される方もいます。

しかしスイスのプライベートバンクの情報守秘性神話も既に崩壊しています。

今後は資産を情報守秘の盾で資産を守るということよりも、真っ向から税制と向き合いラインギリギリを攻めることが必要になってきます。

日本の税務や法務を熟知し、頻繁な法改正にも柔軟に対応しながら、より高いレベルで金融、法律、各業界の専門家の知識を融和させて節税スキームを作り上げていくことが求められます。

因みに2017年1月にハワイ税制が変更したことからキャプティブというスキームに注目が集まっています。

トヨタや花王などの大企業経営者のみが知るスキームでしたが、昨今では中小企業経営者でも広く認知される様になりました。

節税やキャッシュの留保など経営メリットからスキームの採用をする人が多いですが、設計内容を応用すれば贈与や相続でも大きな効果が期待できると関心が寄せられています。

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(詳しくはこの記事を参照下さい↓)

キャプティブで節税をする前に知るべき実態と業界裏話とは?

キャプティブのメリットとデメリットや設立方法とは?

ただ保険業や国際税務など包括的かつ深い知識が必要なので提案できるプライベートバンカーは国内でも非常に限られています。

資産を守るということに関して念頭に置かれているのであれば情報収集しておいて損はない情報でしょう。

資産を管理する側は資産家から高いレベルを要求され、対応することが求められる時代になります。

まだ国内ではプライベートバンクはメジャーな存在ではありませんが、富裕層個人向けビジネスはますます活況になっていくと予想できます。

リスクなく資産家のニーズに応えることが出来るようにプライベートバンク側も切磋琢磨が求められることでしょう。

大手プライベートバンクの課題を冷静に捉えて柔軟な対応と革新的なスキームで評価を得ている投資顧問会社や独立系金融機関といった第二世代も台頭しています。

金融機関による富裕層向けサービスは徐々に熱を帯びていくことでしょう。

【プライベートバンクで口座開設する前に基本的な情報を理解しておくことが何よりも大切です】

実はわたくしは過去に運用でまとまった利益を作ることができました。

それを原資にして資産運用や資産保全に取り組むために、いくつかのプライベートバンクを比較したことがあります。

とはいうもののプライベートバンクも記事でも述べているとおり、ビジネスで運営しています。

幅広いサービスが確かに魅力的ではありましたが、友人からは「金融商品の営業が正直しつこいよ…」などとも聞きます。

ですのでプライベートバンクの少し情報を聞いただけで「何だか良さそう」という単純な理由だけで口座開設することはあまりおすすめしません。

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に

・契約を考えているプライベートバンクのビジネスモデルがどうなっているのか?

・リスクやデメリットは何なのか?

・どういう仕組みになっているのか?などをきちんと理解することが大切です。

それらを理解せずに安易にプライベートバンキングサービスで口座開設をして、金融商品や不動産のセールスを必死にされるだけで「こんなはずじゃなかった」という人は少なくありません。

しかしプライベートバンク選びに失敗してしまう根本的な原因は、単純に良質な情報が少ないことが挙げられます。要らぬ失敗をしないためにも必要なことは良質な情報を取ること、基本の理解が大事です。

因みにわたくしが現在、プライベートバンキングサービスとして依頼しているのは、国内の独立系金融機関である投資顧問会社の投資顧問アドバイザーの方です。

ここは手数料形式が「ブローカーレッジモデル」という金融商品のセールスも全くなく、担当の荒木大志氏は投資家と同じ目線で常に最適な助言を行ってくれます。

そして、商品を売る販売会社ではなく完全に中立公正な立場で情報提供してくれることに加えて、海外の資産保全の情報や海外の老舗プライベートバンクの情報提供もしてくれることが魅力で契約をしました。

 

長年ここのプライベートバンキングサービスを提供している方が執筆した「99%のプライベートバンカーが伝えない1%の真実」というメルマガがあります。

 

業界の裏側や実態を教えてくれている無料メルマガとなりますが

まずは安易に口座開設をする前に知識を入れてから検討されることをおすすめします。

プライベートバンクの基本的なことがまずは理解できるかと思います。

わたくしはまだ40代の若造でプライベートバンクの知識が全くないところから個人的に色々とお世話になっています。

このサイトで無料メルマガをご紹介する許可を頂いたので、以下に貼り付けをしておきますので着手される前に参考にしてみて下さい。

レポートは私自身が執筆したものではなく第三者の専門家が発行したもので良質な情報が詰まっていますのでこれからプライベートバンク選びを検討をされる方には良いと思います。

本来は完全紹介制で登録者数に上限があるようなので情報を参考にするのであればお早めに!

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【その案件は本当に大丈夫ですか?】

プライベートバンクで安易に口座開設をする前に必ず基本的なことの理解をしておくことをおすすめします。なぜなら、プライベートバンクのスキームの構築が本当に最良のものかどうかが自身では気付きにくいからです。

過去には不動産会社と手数料のキックバックをする業務提携して、私欲で不動産をやたらセールスされたケースもあります。

もしも近くに詳しい方がおられない場合は、ご相談・お問い合せ頂いても構いません。

ただ、わたしも普段はサラリーマンをしているので返信に時間がかかる場合もあります。

ご了承をお願いします。

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