2022年に入って再び注目を浴びている「プレミアム・ファイナンス」

スキームを構築する金融機関で内容は異なりますが、ここでは今注目されている日本在住者、日本人でも日本で利用可能なスキーム案件について解説したいと思います。

特徴やメリットだけでなく、実際に活用する際の注意点についても分析していきますのでじっくりお読みください。

〈保険契約を担保に借入を行う〉

先ずプレミアム・ファイナンスは保険契約を担保に借入を行うというものですが

保険契約と言っても「生命保険」と「貯蓄型保険」の大きく2つに分かれます。

生命保険は被保険者が亡くなった場合に決まった死亡保険金が支払われるもので、死亡保険金を担保に借入をし死亡時の死亡保険金で借入金が完済されるもことになります。

一方、貯蓄型保険は解約返戻金を担保に借入を行います。

海外では解約返戻金は「保険会社が保証する部分」と「運用によって増減する部分」とに分かれている場合が殆どです。

プレミアム・ファイナンスでは基本的に貸し倒れのリスクを避けるため、融資会社は保証解約返戻金の範囲で融資をすることになります。

生命保険型については別の記事で解説していますので、今回はこちらの貯蓄型保険を使ったスキームについてお話ししています。

【保証解約返戻金】

例えば、よく使われるもので

契約翌日の保証解約返戻金が80~85%の商品などがあります。

国内でも同様の保険商品は存在しますが、このような商品であれば万が一借り入れをした者が貸付直後に亡くなった場合でも、融資会社は保証解約返戻金で貸付資金をきっちり回収できるという訳です。

生命保険型と同様にこのような仕組みになっているため

万が一契約者(=借入者)が亡くなった場合でも、負債が遺族に残るというリスクを排除することができます。

【運用部分の解約返戻金】

海外の保険会社の中には固定利付債などの債券をベースにした運用に加えて、一部株式等を組み合わせて運用するケースもあります。

こうすることで保証された解約返戻金を提供しながら、運用による利益を提供することが可能となります。

一般的に年間4~5%程度のリターンを確保する運用を行っていますが、それでも15年後、20年後の期待解約返戻率は200%~250%と大きくなっていたりします。

国内の保険と比べると雲泥の差と言えるでしょう。

【掛目100%の借入れ】

融資会社が融資を行う場合、一般的に担保となるモノによって掛目が設定されています。

掛目とは担保価値に対しての融資可能割合になりますが今回のスキームでは掛目100%となります。

つまり保証解約返戻金の金額分を全て借入にすることができるという事です。

具体的に見ていきましょう。

例えば、保険契約翌日の保証解約返戻金が85%の保険に加入するとします。

保険料は2億円です。

本来は2億円の資金を準備して保険料支払う必要がありますが、この保証解約返戻金を担保にして融資会社から融資を受けます。

2億円の85%ですので、1.7億円を借入れる形になります。

つまり投資家は3000万円の自己資金で2億円の保険の加入できることになります。

これだけで6倍以上のレバレッジが掛かっていることになります。

〈期待解約返戻金の推移〉

先ほどもお話ししましたが、解約返戻金は運用によって増加していくのが一般的で、基本的に複利運用によって時間と共に資産価値も増加していくことになります。

勿論、運用次第で増え方は異なりますが、目標リターンの設定が年間4~5%程度であれば、そこまで運用リスクをとった運用は通常は必要ありませんので、ある程度安定したリターンが期待できると言えるでしょう。

固定利付債や投資適格の債券でも十分この程度のリターンは狙えますので、大幅なマイナスや解約返戻金が大きく下落するなどのリスクは低いと考えられます。

今回、注目されているスキーム案件では、7年後の実質リターンは約200%、10年後で330%、15年後で550%となっています。

これは投資家が最初に拠出した保険料に対しての想定リターンとなります。

上記の例では、最初に保険料3000万円を投資家は支払っていますので、7年後には6000万円、10年後は約1億円、15年後には1.6億円の解約返戻金が期待できるという試算です。

年率換算の平均リターンでみると10年で年30%越えと驚異の数字となっており一見すると非常に怪しく感じてしまいますが(笑)

上述したようにこれがプレミアム・ファイナンスのレバレッジ効果となります。

【借入資金の利息支払い】

ただし注意も必要です。

資金の借入れには当然ながら利息を支払う必要があり、利息は毎年投資家が負担することになります。

通常は金利は変動金利で設定されていますので、金利が変動すると借入金利も変動し支払う利息の金額も変わることになります。

不動産投資をされている方も銀行から融資受けて定期的にその利息を支払っていますので、この点はイメージが付きやすいかと思います。

つまり、金利変動によって利息の支払いが増加する可能性があることを投資家は理解しておく必要があります。

尚、上記のリターンのシミュレーションでは、借入れ金利が2%、現在の運用リターンが一定だった場合で試算されていますので、金利変動や運用リターンの変動があればリターンも増減することになります。

※上記のリターンのシミュレーションは、利息の支払い分も加味されており投資家の実利益となります

【プレミアム・ファイナンスの基本的なリスク】

基本的なプレミアム・ファイナンスのリスクとして

1.借入資金の利息を支払う際の金利変動リスク

2.想定リターンの変動リスク

3.為替リスク

この3つが主になります。

一つ一つ見ていきましょう。

(1)借入資金の利息を支払う際の金利変動リスク

融資会社によって異なりますが、今回の案件は「米ドル3か月LIBOR」という銀行が米ドルを貸し借りする際に用いる金利を使っています。

つまり「米ドル3か月LIBOR」の金利が上がれば、支払い金利も上がり支払う利息も増加することになります。

上記の例では2%の金利でしたので、1.7億円の借入れに対して年間340万円の利息が発生することになります。

この金利が3%になれば、支払う利息は1.5倍の710万円になるという事です。

「米ドル3か月LIBOR」については2008年のリーマンショック以降の利上げ局面で一時的に3.2%程度まで上昇したことがありましたが、その後は1~2%台で推移しています。

世界的な低金利の流れを踏まえても今後急激に金利が上昇し続けるというのは考えにくいでしょうが、事前にリスク管理のシミュレーションはsいっかりしておくべきでしょう。

(2)想定リターンの変動リスク

プレミアム・ファイナンスにおいて運用などによって得られるリターンは非常に重要となります。

このリターンとコストの関係こそがプレミアム・ファイナンスの最大のメリットとなり得るのです。

今回のスキーム案件では保険の運用部分の解約返戻金の変動リスクがそれにあたります。

保証された解約返戻金があるとはいえ、保険会社の運用次第では期待解約返戻金が予定より増減する可能性がありますので債券ベースの運用とは言え、現在の運用リターンからプラスマイナス1%程度の振れ幅で試算しておくのが賢明でしょう。

(3)為替リスク

当然に海外のスキーム、商品であれば外貨建ての商品となります。

基本的に米ドル建てが多く占めていますが「資金を拠出するときの為替レート」と「資金を戻す時の為替レート」によって為替損益が発生します。

理想は「円高時に資金を拠出して」「円安時に資金を戻す」のが最もお得ですが、為替レートは常に変動していますので長期的な視点で、時間的価値と為替の両方から然るべきタイミングを判断するのが得策といえます。

【コストとリターンの関係】

上述しましたがプレミアム・ファイナンスにおいて、コストとリターンのバランスは重要となります。

今回のスキーム案件を見てみると

金利上昇による支払い利息の増加、運用によるリターンの減少がポイントとなると言えるでしょう。

金利については先ほど解説した通り、そこまで大きなリスク要因とはならないと想定できるでしょう。

一方、運用リターンについては「債券をベースに一部株式」という内容から、運用がマイナスになるような積極的な運用は行っていないと考えられます。

※一般的に「プレミアム・ファイナンス」のようなレバレッジを使う商品は手堅い債券などで運用するスキームが組まれます

以上を踏まえてある程度のリスクを加味しても、10年で200%以上の期待リターンが得られる可能性は十分あり得ると考えられます。

ただ継続して利息の支払いを行う必要があるので、資産状況や収入にある程度余裕がある方々がそもそもの対象となります。

尚、今回のスキーム案件では200万米ドル以上のエビデンスの提出が必須条件(担保は不要)となってます。

当然ながらプレミアム・ファイナンスは富裕層向けのスキームとなりますので一般人が手を出しにくいという現実があります。

ちなみにプライベートバンクで「プレミアム・ファイナンス」を活用する場合は、基本的に口座への預入資金(最低2~3億円)が必要となりその資金はロックされるのが通常です。

それに比べて今回のスキーム案件は担保不要、資金も最初の持ち出し分+毎年の利息支払いのみということで、キャッシュが少ない富裕層でも使いやすいという大きな特徴があります。

特に不動産投資家さんや地主さんなど資産の大半をキャッシュではなく不動産などで保有している場合、プライベートバンクの活用にハードルが生じることがります。

プライベートバンクを活用する際には仮に資産をお持ちの富裕層でも「どのような資産なのか」が非常に重要となる訳です。

それを踏まえると今回のようなスキームは非常にありがたい方法の一つと言えるでしょう。

掻い摘んで解説させて頂きましたがイマイチ理解しにくかった点も多々あったかと思います。

複雑なスキームですので繰り返しご自身でも学ばれてみてください。

「プレミアム・ファイナンス」は、仕組みをちゃんと理解された方の殆どが、「これは使わない手はない!」と仰るほど優れたスキームです。

是非、皆さんもこれを機にご自身で調べてみてください。

尚、金商法の関係でここでは具体的な商品や会社の固有名詞をお伝え出来ないことをご了承ください。

個別に質問や疑問などありましたら以下よりご相談頂ければお応えできる範囲でお話しさせて頂きますのでご活用ください。

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